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2015年3月10日火曜日

Radio Angels 第4話

 その頃から、開かずの間の新たな動きがあった。
エディが孤独なエンジェルと会話を始めて一月が経とうとしていた時期だった。
 エリアXの地下倉庫の奥にひっそり建造された開かずの間、今迄成りを潜めていたと言うのに、音がする様になったのだ。
 それは、独房に入れられた囚人が孤独に耐えられないかの様な、孤独と葛藤するかの様な聞くに耐えない、悲痛な叫びを繰り返すかの如く、毎日繰り返された。
 初めは外部に漏れないので無視されたが、それが次第に基地内の通信機能に様々な障害を起こすことになるが、軍はその障害がエンジェルに起因している事に気づいて、対処に動かざるを得なくなった。
 そしてそれはいよいよハワードの耳にも届く事になった。

2015年2月27日金曜日

Radio Angels 第3話




 街に買い出しに行ってから更に数日後の夜半。
エディはサイモンと、彼のピックアップに乗って予てから約束していた"黒曜石の谷"へ向かっていた。
 黒曜石の谷とは、古くから在るネイティブアメリカンにとっては聖地の一つで、壮大なグランドバレーである。
 渓に一筋の黒曜石を含む地層が黒い帯となって見える事からそう呼ばれているがそこは、二人にとって最初に出会った場所であり、同時にお気に入りのヒーリングスポットで昼間行く事はあったが、こうして夜中に出かけるのは今日が初めてだった。
 今回は、サイモンから渓谷の別の顔を見せると聞いていたので、エディはとても楽しみにしていた日でもあった。

 夜空は雲が殆どなく晴れ渡り、天にはこれでもかと言わんばかりの星ぼしが煌めいていた。
 この辺りは殆ど雨が降らない乾燥地帯で、気温はやや冷え込んだ乾いた空気に、辺りは3.6リッターディーゼルのエンジン音と大型タイヤが土石を弾く音だけが響いていた。
 エディはその車の助手席で揺られ、車窓から遠くに明るく霞む地平線と渓谷の間をボンヤリ眺めていた。
「あの谷は神聖な場所だ、コヨーテや狼がかつて群がって人を寄せ付けなかった」
「僕達の祖先の白人が、インディアンを追い出したんだよね」
「それもそうだが、何よりも彼らは聖地をただの観光地に変えてしまったんだ」
「クリスチャンなら、ローマ教会を踏み荒らすみたいなものなのに、残念だよ」

 エディはサイモンの表情を伺ってから顔を反対に向けて、流れて行く風景の更に遠くに視線を移した、そのとき山の麓から光が空に立ち昇るのを見付けた。
それを目で追っていると、その光の点は二つに別れて斜め上方に登っていく、その不思議な動きに暫くは見とれた。
その後は、自由に星に紛れるように飛び回っているのだ、エディは流石にサイモンを呼んだが彼は特に驚く様子も無く真顔で答えた。
「軍施設方面エリアXだな、あの辺りでは珍しくない」
「え?あれが軍のUFOなの?」
「そう言う者もいるが、そんなモノではない」
「じゃ、何んなの?まるで生き物みたい」
「あの光は昔から見られたよ、インディアンの間ではまやかしの光と言って人が星を頼りに移動するのを邪魔をするんだ」
「へぇー」
エディは昼間に聞いたカーヴィンの話しより真実味を感じた。
「でも我々は、差し当たる危険を知らせてくれたりもする神聖な存在と考えている」
「なんか悪魔と天使みたいだ」
サイモンはエディのユニークな意見に、前を向いたまま苦笑いで応えた。


2015年2月20日金曜日

Radio Angels 第4話



 エリアXの地下倉庫の奥にひっそり建造された開かずの間。
エディが孤独なエンジェルと会話を始めて一月が経とうとしていた時期だった。
 その頃から開かずの間の新たな動きがあった、今迄成りを潜めていたと言うのに、音がする様になったのだ。
 それは、独房に入れられた囚人が孤独に耐えられないかの様な、孤独と葛藤するかの様な聞くに耐えない、悲痛な叫びを繰り返すかの如く毎日繰り返された。
 初めは外部に漏れないので無視されたが、それが次第に基地内の通信機能に様々な障害を起こすことになる。
 軍はその障害がエンジェルに起因している事に気づいて、対処に動かざるを得なくなった。
そしてそれはいよいよハワードの耳にも届く事になった。

 その報告書を睨んだままハワード中佐は苛立っいた、鳴り物入りで基地内整理を始めて漸く見通しが付いてきて、いよいよ天王山の"開かずの間"にいざ手を付け出すと、"圧力"が様々な方面から掛かってスムーズには進まなかったからだ。
「何故あんな無駄を簡単に排除させないんだ」
 そしてエリアXの外でも別の問題が取り上げられる様になった。
 "メン・イン・ブラック"
という言葉を耳にする様になったのも丁度その頃からだった。
突然訪問を受け唐突に、
「それ以上関わるな、でなければ保障はない」
と言い放って立ち去る黒ずくめの三人組の男達をそう呼ぶようになった。
 妙に古臭い出で立ちは二十世紀初頭を思い起こさせ、彼らの乗る時代錯誤なフィフティーズ・キャデラックは、まるで新車の様に黒い艶を輝かせていた。
 彼らは常に、アンタッチャブルを暴こうとする者の前に現れる、そして相手に釘を指すのだ。
 忠告された相手は、まるで杭を打ち込まれたドラキュラみたいに固まり、沈黙するのである。
 その沈黙を守らぬ者は漏れなく、謎の死を遂げ新聞の片隅の一交通事故死亡者として無名で掲載され素性は消される。
そんな話が米国の僻地にある空軍基地周辺の街にまことしやかに語られた。
あくまで"噂"である。
 田舎の人々は失踪事件が基地周辺で発生すると、兎も角黒ずくめの三人組のせいにし、基地上空で夜な夜な起こる光の航空ショーに関心を示しながらも、それをあたかもタブーの如く口を閉ざすのだった。


2015年2月12日木曜日

Radio Angels 第2話




 それからと言うものエディは、リサが仕事に出た後通信講座を済ませて、昼過ぎになると自部屋のドアを締め切ってから、箱の声に耳を傾けるのが日課になっていた。
その後も声らしきものは聞こえて来ないまま数週間が経とうとしていた。
 ある日、家族で久し振りの買い出しへ出かけた後、誰も居ない筈のエディの部屋中で、助けを求める声らしき音が虚しく鳴っていた。

 その事を知る由もなかったエディは、正午前には最寄りの大きな街に辿り着いていた、大きな街と言っても人口数万の田舎街だったが、彼には十分に都会だ。
 前までは買い出しに来た時には母と一緒にスーパーへ付き合っていたが、最近は或るもので街が賑やかになっていて例外なく彼もそっちに興味を持つようになっていた。

"ようこそ、イーバの郷へ!"

 最寄の空軍基地撤退が決まって多くの人が職を失う中での突然に湧いた新たな"特需"に街はアメリカンドリームを狙って再び活気づいた。
 今では街中に派手な看板が目立ち、あるマニアからは"聖地"とまで言われるようになっていた。
 その話題、それは

"UFO"現象

 事の発端は、1945年頃から米の或る州で起こった未確認飛行物体の目撃や墜落事件からである、暫くその話題は形を潜めたものの数年前、1975年頃からある事件関係者の発言かた再びメディアで話題に火が付き、当時よりも発達した全米の情報網によって爆発的なトピックとなっていた時代。
 更に最近では、街の遥か西方に存在すると言われる通称"エリアX"なる米軍基地上空に毎夜現れるUFOの噂が囁かれ出すと、それがこの地のUFOネタと一緒になって再び全米に軍絡みのUFOスキャンダル騒動に。
それに便乗してN州の片田舎のこの街が久し振りに"UFO発祥の地"として観光地化したのである。

 そんなトレンドを、好奇心旺盛なエディが見逃す筈も無くここ半年は母との付き合いもそこに、専ら最近行きつけになった、
"エイリアン・バー"
へ街に着くなりそこ常連でやってくるUFOマニア達の"情報交換"の空気を楽しみにする様になっていた。


2015年1月29日木曜日

Radio Angels



 第二次世界大戦の終戦直後、アメリカの片田舎、
少年が聞いていたラジオ放送に突然割り込んできた、声。
その声はその時から、少年と対話をするようになる、

 その声を少年は゛天使゛と呼んだ。
でも、暫く対話を重ねると、どうやら一人じゃ無いらしかった……
それは、或る片田舎から始まった。


 またたく間に30年程の後、
十歳を迎えるエディ少年は、我が家の納屋でとても興味を引くものを発見した。

 子供には一抱えもある箱形の物体。

 ホントに納屋の奥の奥に、長年形を潜めていたようですっかりホコリにまみれた姿を晒していた。
 それは、片田舎で平凡に暮らす少年の好奇心を大いに刺激するのには十分で、一見黒塗のジュークボックス風だがもっとメカニカルで、まるでジュール・ベルヌのSF小説に登場する未知のデバイスを想像させた。
彼はこの箱を何とか取り出そうとあれこれ努力したけれども、非力な少年には何ともならず、やがて一抱えもあるとても重い物体の扱いにすっかり困惑した。
 その後も諦めきれず、何度も頭を傾けたり腕組みをしたりして小一時間、思案した結果とうとう一つアイデアが思い浮かんだ、それは細やかだが彼にはグッドアイデアに思えた。
 エディは決心する時は、何故か目玉をくるりと一回転してからコクッと頷くクセがあって、この時も彼はそれをして行動に出た。
 彼には大人の親友がいる、つまりエディのアイデアとは、その屈強な大男に頼み込んで重い箱を納屋から運び出して貰う事だった。

 因みにその親友とは名前をサイモンと言うネイティブアメリカンで、物心ついて以来父が不在のエディには、頼りがいがあって大らかな彼は兄や父の様な存在であり、子供の気持ちも理解してくれるとっても大切な存在だった。
 エディは元々彼等の歴史や習慣・考え方に関心があって、サイモンとは写真で見て憧れ訪れた大渓谷で出会ったし、何度か通った後にそこがネイティブアメリカンの間で"聖地"と呼ばれていると教えてくれたのも彼だった。
 それ以来、好奇心旺盛で正義感の強いなエディと、慎重で情に篤いサイモンは意外とウマが合ったのか、年齢差を乗り越えて親友となった。

 さて、その後その箱がサイモンによって何とか納屋の外に出された頃には、その日の昼過ぎになっていた。
 サイモンは運び出してからやっとこさ、圧し殺していた頭の中の疑問を吐き出した、
「何だい?コレは」
「まだ判んないんだ」
エディの能天気な返事に鼻息を吐いたものの、気の良いサイモンは彼の好奇心に付き合うことにした。
「かなり年代物だな、俺の年齢より古そうだ」
 出してみてやっと全体像が見れるようになったものの、エディには理解出来なかったが怪訝そうな顔でサイモン続ける、
「古そうだ、電源入れたら発熱したり、爆発するんじゃ」
「サイモン怖いのーー大丈夫だよ」
「俺はエディが怪我でもしないかと心配なんだ」
「ありがとう、でもこれ何だろう」
例えて言えばテレビジョンの様な、ブラウン管やメーター、レバーやボタンが幾つか付いている。
「ラジオかな」
「こんな変ちくりんなラジオ見たことがないけど」
「何だってイイや、とにかく気に入ったんだ」
 見るからに小難しそうな黒い箱がエディの好奇心と感性をくすぐるのだ、何の装置かは後でゆっくり考えればいいと彼は大事な事を後回しにした。
「僕のコレクションにしよう」
と、ごり押しして気の進まなそうなサイモンに、
「それよりこのままじゃママに見つかって捨てられちゃうよ」
エディは、母が帰る前に一刻も早く隠そうと思ってサイモンに何度も拝み倒した。
「うーん」
と散々葛藤していたもののエディにはどうも甘い彼は結局折れて、二人はエディの部屋まで運ぶため家の中へ入っていった。


2015年1月21日水曜日

念力少年 新世紀編 ― ヒーローと呼ばれて


「ねえ、翼の上に人が居るよ」
愛娘チェインが、同席の父ロブの裾を引っ張った、二人は数年ぶりの里帰りの為最新鋭機DC-S101に搭乗していた最中の出来事である。
「こんな超高度で人は居られないよ」
半分呆れ顔でロブは何気なく窓外に、小刻みに震える主翼が見えただけで、鼻息を吐いて娘に、妖精さんでも見たんだろう?とたしなめようとした。
「パパ、ホラ翼の前に」
「何も居ない……」
と言いかけて外を見ると一筋の白い何かが翼の前部から流れるように見えた、それでロブは青ざめる、
「いかん!燃料漏じゃあ?」
事の重大さに思わず声を大きくしてしまったが、機内は殆どが仮眠中で気づく者は居なかった。
「チェイン、パパ機長に話が有るから一人でお留守番してくれる?」
「うん、分かった」
ロブは静かに席を発つ、娘は窓外に夢中になっていた、外には確かに人影がはっきり見えていた。


「燃料が漏れてる!」
アテンダント控え室に飛び込んで直ぐロブは訴えた。
始めは怪訝そうだった彼女等は、ロブの蒼白な顔を見て無視できないと感じ、窓外を覗く、確かに白い筋が有るのを確認、直ぐにアテンダントは機長に報告に行った。


このDC-S101は、成層圏の上を飛ぶ事を前提に設計された、初の半宇宙船型の航空旅客機で、今回が処女飛行だった。
成層圏の上を飛ぶ事で空気抵抗を減らして燃費と速度を格段に改善出来、しかも一回で最大200名以上の客を運べるという、これからの主流となるトランスポータで、当に未来世界の象徴的存在だった。


その初フライトで起こった出来事である、機内には初とあって各国の要人も多く報告を受けた機長は緊張した。
「直接確認したい」
そう言ってエドウィン機長は、コパイに操作を任せて、シートを降りた。
客室は薄暗く多くの客は寝ている、物音を立てないように速やかに移動して、エコノミー席へ移動する、ロブの
「私の席は翼の真横です」
との助言に従い、彼の席へ来た。
固唾を飲んで窓外を覗くエドウィン、すると確かに前翼中央辺りから白い筋が流れるのを確認した、
「どうなんですか?」
ロブが機長の耳元で囁く、
「ロブさんご協力感謝します、この事は他言無用に願います」
それだけ答えて速やかに機長室に去っていった。

2015年1月13日火曜日

念力少年 中華混沌編 - 歪められた歴史、その後



三国統一を目指す魏の国の皇帝についた曹操、その元に意外な来客があった、側近からその報告を受けて彼は、
「何と?ほぅー、面白い通せ!」
そう伝える、間もなく来客が謁見の間に通された、優美に立つ一人の女を見て曹操は目を細める、
「これはこれは、諸葛孔明殿、先の戦で西の辺境地で消息を断ったと聞いていたが?しかもスッカリ麗美なお姿に……ふふっはは、西で何かあったのか?」
姿が女性と見まごう程孔明は美しくなっていた、かつて叡知を欲しいままにした彼が何故にここまでの変容に至ったのか?、ただ彼いや゛彼女゛は面白い話をし出すのである。
「曹操殿?ご機嫌麗しゅう、この姿をを見て動じぬ処は流石の豪傑ぶり、久方ぶりですね。私は西方で訳ありこの様な姿で世を遊ぶ世捨て人となりました、それはさておき、今日は妙な噂を耳にしたのでこうして確かめに参った所存」
曹操は片眉をつり上げて、
「妙な噂?とな、してどのような。余も興味があるな」
「何せもう数年も前の事、西方の辺境地であった月氏国との戦でございまするな」
一瞬曹操の眉がピクリと動く、
「ふうん、知らない訳でもないな、詳しくもないが」
急に曹操の歯切れが悪くなる、孔明はその空気を見逃さない、
「くくっ……危なかったですぇ?もうちょっとで、そなたの目論みが狂う……」
「それ以上言うな!そこまで見切ったか孔明、その通り、あの戦いは周辺強国を取り込んで、入植と引き換えに我がその国の王になる密約の結果その石末だった……そなた今更、余を揺する気か?」
「まさか!既に世を捨てた身、今更そのような事ほほほ、ただの昔のよしみその危うくなった顛末知りとうないか?」
曹操の眉が両方持ち上がった、
「昔のよしみ?フム、まだそなたの真意が読めぬが、叶うなら聞かせてもらおうか?余の目論見を一時とはいえ、遅らせた理由をとやらを!」
その頃、都にみすぼらしい姿の小男が入城していた、普通城門のある都にはそう易々と入れるものではないが、その小男は不思議な妖術使いであった。
気配を消して荷車の食材の中に紛れ込み入城したのだ、その時始終馬車を曳く車夫を完全にコントロールし成功率を上げていた。
奥に進んで暫くして、人気の無い場所で小男は荷車から飛び降りる、そのまま繁華街へ向かい市場の人だかりへ身を隠す。
目標は宮廷にいる曹操であった。

2015年1月10日土曜日

念力少年 創始 続一編目

 (ステージ :中国)


更に年月は流れて、二人の噂も聞かなくなった頃のこと。
月氏の東方の隣国、国境の最前線の地に緊張が走っていた、慌てて斥行を務める兵士が前線基地に飛び込んでくる。
「報告します!月氏の密偵の話では、ここ数日より不穏な動きが起きていると……」
基地の責任者、凛音(リオン)が唸る、
「具体的に話せ!どう不穏なのだ?」
「はっつ!密偵の情報では即興軍が今日夜半にも北方の奴留句族と合流して二方向から我が軍を殲滅にかかるとのことです!」
凛音に戦慄が走る、それはほぼ勝てない事を意味するからだ、暫く考えて指示する、
「それが判っていながら逃げない訳に行かないが、応援は頼めないのか?」
「恐らく間に合って明け方になるかと!」
「我らはこの地に居すぎた、家族が定住するには至って今更逃げられるか?
しかし、このまま犬死には避けたい」
頭を揚げて膝ま付き、運命の指示を待つ部下を前に英断を下す凛音、
「よし、家族を今すぐ東方側近の壕村に避難させろ!女子供、そして知恵者のご老体を最優先、一部を除き男は全て一ヶ所に固まり、敵の攻撃に備える!すぐ動け」
その言葉に悲壮感の漂う団結が生まれる、すぐに彼らは行動に出る。
その地は今で言う雲南省北部の地、少数民俗が最前線として土地を護っていたところだった、ここでも今に伝わることも無いが数えきれない人の物語があった。
しかしここでは取り上げる機会を持てない為語らない、彼らはこの後民俗の継投に的を絞って東方に活路を求め移動する。
残った男達は、それらに未来を託して時間稼ぎの盾となり、圧倒的な力に押し潰されていく、それは当時の歴史の流れとして至極当然の結果だった。
この民俗の流れで東アジア情勢は、南は逃れた極東原住民系と東南アジア系との融合し、一方北は三国統一の代償に北西系民俗に入植を受けた、現在の中国民俗の原型へと淘汰されていくのである。
やがて、東方に逃れた少数民俗は、その独自の文化をその地域に色濃く残しながら、南国現在の沖縄、または東シナ海を渡海して、北方より文化が伝来する遥か以前より、日本へ影響を与えていく事になる。
言わば、文化的には日本のルーツと言えるものだ、その少数民俗の一大事にある少年が絡んでいた。